伊万里に中村文昭氏がいらっしゃったので、講演を聞きに行って来ました。

nakamura
中村氏は三重県で飲食店を経営される傍ら、ひきこもりの方を中心にして農業生産を行う「耕せ日本」というのをやられてたり、年間に300本をも超える講演を全国でされている方で、その講演のおもしろさはとても評判がよく、今日も大雨の中、400~500名近くが入っていました。(なんか知り合いも何人か会場でばったり会いました)

生まれは三重県の超ド田舎で、その子供の頃の話から、かなりヤンチャをしていた中学・高校のころ、中学時代に受けたいじめや挫折の話、上京してからの失敗談や「心にスイッチを入れられた」という方との出会いの話など、とにかく話がとてもうまくておもしろく、2時間以上聴いていましたがあっという間といった感じで、その話の至るところに人生のヒントになるようなすごく重要な部分が織り交ぜてあったり、頻繁に笑いの要素が盛り込んであったりと、終始引き込まれるような講演でした。

仕事柄、定期的にこういう講演会やセミナーなどを聞いたりすることも少なくありませんが、今日の講演はその中でも相当満足度の高いものでした。


流れるような話の中から、大事だなと思ったことを箇条書きにメモったこととそれについて思ったこととかを書いてみます。

1.頼まれごとはためされごと。
(頼まれているということは、相手にためされている(期待されている)ということ。最初からできないだろうということは頼まれもしない。だから頼まれたら全部ひきうけ、相手に喜んでもらえるようにしてあげましょうということ)

頼まれごとって小さなものから、大きなものまで、仕事からPRVなものまでほんと日々山のようにありますが、果たして自分はどうかといわれると、忙しいときはイヤイヤひきうけてたり、できないと言ったり、先延ばししていることもたまにありますねー。可能な限り(というか中村氏は「全て」と強調していましたが)、喜んで引き受け、それをしたことで相手が喜んでもらえるようにしたいものです。


2.イヤな過去、思い出したくもないような過去に感謝することができるようになったとき人は強くなる。

誰にでもある、思い出したくない過去、挫折、愚かな行動。しかし、これがあったからこそ今の自分があるから、逆にあってよかったと感謝する。思い出したくもないものにスポットを当ててさらけ出せるようになったときに人は一段階上のレベルに強くなれるという、なるほどと思いますね。なかなか難しいことですが、過去にとらわれて生きていきがちなので、過去の失敗や挫折を笑い話のように語れるようになれば、たしかにそれを乗り越えたことになりますよねー。


3.ひきこもりの子の共通点は、家の居心地が良過ぎる。

家の居心地がものすごく悪かったという中村氏の子供頃のエピソードと、いま現在ひきこもりの方の社会復帰(と言っていいのかな)を手助けしている氏の説得力のある言葉でした。


4.人間の悩みの大半は、人との比較。

自分はあの人よりもお金がない、いい車に乗ってない、顔もかわいくない、いい服を着て他の人よりかっこよく見られたい、自分の会社は一流企業じゃない、家が借家だ、などなど。他人と比較ばかりして気にしている。いやーこれは自分には耳が痛い話でした。ほんと他人と比較ばかりして生きているなと。人間の器がまだまだ小さいなと感じます。。。


5.どんな仕事をしててもいい。要はその仕事で人に喜んでもらえているかどうか。

人を喜ばせることができているか、仕事の種類ではなく人間力で勝負する。野菜の行商でも、公務員でも、一流商社の営業マンでも、農家でも、とにかく仕事は人を喜ばせるための手段にすぎない。どの種類の手段を使っているか(どの職業についているか)が重要なのではなく、その仕事でどれだけ人に喜んでもらえているかということが大事。


6.目に見えるものよりも、目に見えないもののほうが大事なものが多い。


7.素直な心と謙虚な姿勢を忘れない。


8.人を喜ばせることを続けていると、いずれそれによって何かの役割を与えられるようになる。

頼まれごとをされて、それに応えて相手に喜んでもらえる。これをずっとずっと続けていくと、そこにいつか役割が与えられる。つまり存在価値が出てくるということ。


9.人をひきつけるのは、お金でも容姿でも地位でもなく人間力。


10.とにかくいま目の前にいる人を喜ばせることをずっと続けていくだけ。

たくさんの人を喜ばせる、めちゃめちゃ喜んでもらいたい、とか大それたことは考えずに、いまそのとき目の前にいる人を全力で喜ばせる。この一つ一つの小さな積み重ねがやがて実を結ぶ(人間力があがる)ということです。


11.全てのものごとについて、今という点で(今現在の視点からのみで)良し・悪しを判断してはならない。

そのときはすごく悪いと思った出来事、いやな失敗なども、あとあとになれば成功への欠かせない出来事になるかもしれない。過去は変えられないとよく言われるが、事実は変えられなくても、その過去に対する気持ちは変えることができる。

よくありますよね、あの時はつらかったけど、それが今の自分の肥やしになっていることとか。いい経験だったとか。良し・悪しというのは表裏一体ということですね。それも考え方次第で。

プラス思考の人が成功しやすいとよく言われますが、プラス思考の人は一見普通の人なら失敗だったとか、悪いことだったとか、やらなきゃよかったとかいうことも、逆に失敗してよかったとか、結果悪かったけどやらないよりはよかったとか、それらを将来の糧にしていくことができ、そのことが成功につながっているのかもしれません。過去は考え方次第で良くも悪くも変えられる。なかなかいい言葉でした。


12.4か条
 (1) 何か頼まれたら返事は0.2秒で。(損得考えずにとにかくYesと言ってみる)
 (2) 相手の予測を少しでも上回って喜ばせる
 (3) 「でも」は言わない(言い訳しない)
 (4) すぐにやる


こう書くと、講演を聞いていない人は何ともきれいごとやら、実現不可能なことやら、極論みたいに見えると思います。

でも、事業で成功をおさめているにもかかわらずいまだ、築28年の古い借家住まいをされ、会社には自転車出勤、ほとんど自分のためにお金を使わず、今日もぞうりにラフな格好をされ、子供の頃からいまに至るまでのいろんなエピソードの中で話される上記のような事柄はすごく説得力があり、少しでも自分でも実践できないかと思わずにはいられませんでした。


興味のある方は、九州にもたまに講演に見えられているそうですし、本も6冊くらい出ているので読んでみてはいかがでしょうか。(でも生であの終始おもしろい話を聞くのが一番いいですよ)



(あたくしもつい本を買ってしまいました)

nakamura-fumiaki