伊坂幸太郎 原作映画をハシゴしてみる
最近飲み会の模様しかアップしてなかったのでたまには映画の話でも。
yeah!yeah!crewの映画マニアであるRyuからまた大量にDVDをレンタルしたのでその中から今回は「重力ピエロ」と「フィッシュストーリー」を紹介します。
2作品とも人気作家、伊坂幸太郎の原作を映画化した話題作ですね。
過去にも「陽気なギャングが地球を回す」、「アヒルと鴨のコインロッカー」、「死神の精度」、「ラッシュライフ」と多数映画化されてきた伊坂幸太郎作品。
今後も「グラスホッパー」と本屋大賞と山本周五郎賞をダブル受賞した「ゴールデンスランバー」の公開も控えてますし今もっとも映像化のオファーが多い作家と言えるんじゃないでしょうか。
ちょっと映画化しすぎとも思いますが伊坂小説のファンとしてはやはり気になって観ちゃうんですよね。
ではまずは「重力ピエロ」から紹介します。
監督:森淳一
出演:加瀬亮、岡田将生、吉高由里子、渡部篤郎、小日向文世、鈴木京香
あらすじ
仙台の街で起こる連続放火事件。放火現場の近くには必ず奇妙なグラフィティアートが描かれていた。過去に辛い記憶を抱える泉水と春の二人の兄弟は、事件に興味を持ち謎解きに乗り出す。グラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎を解き明かしたとき、その先に見えてくるものとは。
この作品は数ある伊坂作品の中でも最も映像化が難しいと言われていたので正直期待半分、不安半分で観始めたのですがワタクシ的にはなかなか楽しめました。
小説を読んだ時の衝撃には及びませんが監督、スタッフ、役者の熱みたいなモノが伝わってくる良い映画です。
原作に比べミステリー的要素を控えめにし家族の物語に光をあてたことが功を奏してますね。
あの重厚なストーリーを2時間の映像作品にするには最善の選択だったのではないでしょうか。
そして映画化が決まった際最も懸念されたのが主人公のひとり、弟の春を演じる俳優は誰か?という点だったのですが若手俳優の岡田将生がミステリアスでピュアな春を魅力的に演じてます。
まだ荒削りではありますが「天然コケッコー」の時から成長しましたね。
最近の若手俳優はヴィジュアル先行の一本調子の演技しかできない大根ばっかなので
今後も期待したいです。
もちろん脇を固めるベテラン俳優の演技も見どころの一つですよ。
重苦しいストーリーに彩りを与え魅力的な作品にしたのは両親役の小日向文世と鈴木京香の力が大きいでしょう。
狂気を秘めた渡部篤郎の演技をもうちょっと観たかった気はしますが…
脚本をもう少し煮詰めれば後半まで緊張感が保てたのでは?とかも思っちゃいましたが原作を読んでて結末を知ってたのでそこは仕方ないですね。
でもなかなかの良作です。
一人でじっくり観るには最適の映画ではないでしょうか。
では続いて「フィッシュストーリー」を紹介します。
監督:中村義洋
出演:伊藤淳史、濱田岳、多部未華子、森山未來、大森南朋
あらすじ
1975年、「セックス・ピストルズ」がデビューする1年前。日本の売れないパンクバンド「逆鱗」が解散前の最後のレコーディングで演奏した「FISH STORY」という曲が時空を超えて奇跡を起こし、地球を救う。
こちらは伊坂作品を映画化した「アヒルと鴨のコインロッカー」を手がけた中村義洋監督と同じ制作スタッフが再びタッグを組んだ作品です。
来年公開予定の「ゴールデンスランバー」も中村監督が手がけるみたいですね。
同じ監督がメガホンを取ることで予定調和な作品になるのでは?との不安はありますが「アヒルと鴨のコインロッカー」はまあまあ面白かったので是非頑張ってもらいたいものです。
さて、話を「フィッシュストーリー」に戻しましょう。
こちらは重苦しいストーリーの「重力ピエロ」とは違いエンターテイメント作品となっています。
「FISH STORY」という曲を契機に色んな時代で起こる奇跡をオムニバス的な演出で紡いだ作品なのですが、ちょっと脚本に無理があるなというのが正直な感想でしょうか。
一つ一つのエピソードが魅力的なだけにもうちょっと丁寧に扱ってほしいと思ってしまいました。
音楽映画でありがちな当てフリの演奏シーンではなく演者が練習して実際に演奏しているなど役者の頑張りは伝わってくるのですが展開が早過ぎてイマイチ感情移入出来ないんですよね…
伊坂小説ファンの期待を裏切らないようエピソードを詰め込んだのかもしれませんが、ここは腹を括って映画自体の作品性にこだわってほしかったところです。
でも多数出演する若手俳優陣が頑張ってるのは評価していいでしょう。
特に「アヒルと鴨のコインロッカー」にも出演していた濱田岳は今回も素晴しいです。
ワタクシは彼のデビュー作である「金八先生」の時から見てますがほんと良い俳優になりましたね。
さっきも言いましたが大根イケメン俳優(もはや俳優と呼ぶのもはばかれますが)にはもうウンザリなので彼みたいな志しの高い俳優がもっと注目される事を切に願います。
というわけで若手俳優見本市としても楽しめますしエンターテイメント作品なので家族やカップルで楽しく観るのにオススメです。
今回は伊坂幸太郎原作作品を二本ハシゴして見ましたが同じ作家の作品でも監督や脚本の違いでこんなにカラーの違う映画になるんだなと改めて感じました。
新刊も出てるみたいだし伊坂小説久々読もうかな(^-^)