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修行の合間に  雨の晴れ間に

ども、僕です。

ちょい、ブログ疲れしてまして、

おろそかしてました。

さ、屋久島修行の旅レポです。

二週間目あたりの映像がございましたのでどうぞ。








なんでもないような映像が幸せだったと思います。(by ジョ――――ジ)

鬱陶しい雨音が、ジメジメした日々を思い出させます。

お次は最終週の映像です。








水汲みも、修行の一つです・・・(。´-д-)

雨の日だって合羽着て汲みに行かにゃあ、話になりません。



そして、ある日、下流に巨大ウナギの死骸が流れ着いていたのを発見した為に、

急遽スタートしたプロジェクト。



























つってね。



んで、茶番はこれくらいにして、

いよいよ次回、屋久島の最大の魅力である「自然」に迫りたいと思います。











未来がどうなるか、あれこれと詮索するのをやめよ。 そして、時がもたらすものが何であれ、贈り物として受けよ。






タイトルはイタリアの詩人、ホラティウスさんの作品。

Yeah!Yeah!Crew 特製手ぬぐいをプレゼントしまーす。


なんかね、こうしてありがたそうな名言を冠したら、いかにも「修行してきた!」って感じするでしょ?(笑)



そういうのは嫌いです。

悟りや、無心の境地や、解脱なんて興味無いし、普通の人間ができることじゃありません。

自分は「聖人」になんかなりたくないし、そんなつもりで修業してませんし。

でも、

「楽しく生きる」

「過去を後悔しない」

「人に迷惑をかけない」

くらいは、やって生きていきたいですね。

そしたら、自然と先人の名言にも耳を澄ましてしまうもんです。

そう、

未来への詮索をやめた時、

時がもたらしたものは






お魚さんでした。




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「贈り物」として、申し分無し!!

僕は昔から釣りが苦手で、ハマってやったことなかったんですが、

釣り好きの和尚さんにほだされて、4回ほどやりました。

↓初釣り。








初めての本格釣りでしたが、

いや、漁場までが一苦労・・・(o´Д`)=з

ジャングルを抜けて岩につかまって辿り着いたトコですもの、釣れますよ(笑)




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初釣り上げ(カワハギ)




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東シナの荒波と和尚




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ピラルクー?(和尚GET)




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ま、僕の釣果は2匹でしたが。

帰って美味しく頂きました。

人間が食べれないハラワタや頭、とても固い骨などは藤吉が食べてくれますので、

捨てる部位は一切出ません。

「いのちをいただく」という事の大切さを再認識しましたね。



これは3回目の釣り。




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屋久島はホントよく虹が出ます。




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空模様に合わせてコロコロ変わる海の色。








午後からは、すっかり飽きちゃって撮影に没頭。




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いやー、岩がデカイ!!

写真や映像で伝わらない・・・(下手くそ)




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で、和尚さん以外、結局ボウズ。



あ・・・

結局「釣り」の話になりましたねw

「山」はクライマックスにとっておきます・・・。
















食と雨

者どもマラを出せ!



「花の慶次」より。

船長不在の船では、男のチ〇コのデカさで責任者が決まる・・・

でも、おっきいりんごと、ちっちゃいスイカは、どっちが大きいんかなぁ~??




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宇宙です・・・。





さて、前回の続きです。

屋久島はホントに雨が降ります。

年間降水量で言えば、福岡のおよそ2.5倍です。たぶん。

昔から「屋久島は月のうち、35日は雨」と表現されるように多雨地域です。

自分が滞在した21日間の8割は雨でした。

通常は「日課」の記事で紹介した通りのスケをこなすのですが、

雨の日はやる事が限定されます。




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雨の日は写経したり、作業小屋の整理をしたり、箸を作ったり、釣りの仕込みをしたり・・・

ホント、気分が滅入ります。












こんなことで時間潰したり、スイーツ」を作ってみたり・・・。

ここでたくましくなったのは、元々料理なんかやってなかったのに、「作らざるを得ない」状況にあったので作って食べてた事ですね。




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しかも、ある材料で、いかに美味しく食べるか。

そこで独創性を磨きました。



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上の饅頭は、オレンジページに載ってたのを見て作った「味噌あん かぼちゃ蒸し饅頭」

下段は、それをアレンジした、「サツマイモ蒸し饅頭 きな粉あん&大豆あん」

お寺に腐るほど(まあ、1/4は腐ってた)大豆があったので、それを何とか片付けようと試行錯誤しました。

きな粉は炒って挽いてもちろんお手製。砂糖と水で捏ね固めてあんにし、

小豆が無いから大豆を砂糖で煮詰めて、なんちゃって小倉あん。

おいしくなかったですが(笑)




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こんにゃくを薄く切ってコンソメで味付けし、カリカリに焼いた「肉もどき」を入れ、煮大豆でタンパク質を補った

「大豆カレー」



カレーはハレンチな事してるみたいでおいしかったです。

パン粉が無いから麩や「おかき」を砕いてコロッケしたり、

ピクルスの代わりに茄子のヌカ漬けを刻んでタルタルソース作ったり。




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釣った魚は刺身にしたり、唐揚げしたり。

唐揚げはブツ切りして、骨ごとバリバリと音をたてて喰らいます。

「うわっ!!揚がってない!!生臭い!!」

と思ったら骨やヒレが刺さってて、口の中血だらけの味でした。




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火を熾して、薪を足したり崩したり、吹いたりして火の加減を見ながら料理するって、

ホント大変です。

今はホントに便利な世の中です。IHなんか、完璧に火力一定やし、デジタル調理やね。

便利な物のありがたさを知る。

それも勉強でした。


最初の一週目は「帰りたい、帰りたい」と思っていました。

草むしりがイヤとかじゃないです。

水とトイレの問題です。

水道は全て山水を一度タンクに貯めたものを蛇口から出す・・・

みたいな方式だったと思います。

これが、雨の日は泥水になります。

炊事場でボウルに水を貯めれば泥が沈殿し、木の葉のクズが舞います。

洗濯をすれば白いものは一回で「驚きの茶色さ」になります。

風呂も泥水です。

泥水と書いたらそれこそ土石流みたいなの想像されるかもしれませんが、

そこまでじゃなくて、「泥混じり水」ですね。

あと、トイレ。

もちろん、昔ながらの「ボットン」というのは言うまでもないですが、

使用済みの紙は、下へ落とさず目の前のゴミ箱に丸めて貯めておき、

いっぱいになったら外で燃やす・・・という方式です。

しゃがんでて、目の前に使用済みの紙の山があるのは、何とも不快ですよw

ゾォーーーΣ(゜д゜)ーーーン

あと、雨の日、洗濯物は少し厚物生地だと、3日干しても乾きません。

晴れの日は外に干せば午前中いっぱいで乾きます。

もし、これから行かれる方がいれば、ダントツ乾きやすいユニクロの「DRY」シリーズをおススメします。


さあ、久々の晴れ間です!!

一気に洗濯物を済ませ、天日干し!!



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待ちに待った登山修行です!

次回、いよいよ屋久島の「山」と素晴らしい自然をお届けします。
























ワインを飲んでいる時間を無駄な時間だと思うな。 その時間にあなたの心は休養しているのだから。



タイトルはユダヤのことわざです。

ども、僕です。

今日はお寺での日常生活をご紹介します。

まずはメインの禅ですね。




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こちらが禅道場になります。

何やら独特の重厚感ある雰囲気で、ここに入ると時間が止まっていると言うか、

別次元にいるような錯覚に陥ります。

会話も全然行いません。(暗黙の了解?)




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御本尊の文殊菩薩さま。





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一休さんになったつもりで、せっせとお掃除。




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禅に励むK田君。




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煩悩だらけのワタクシ。

ちなみにこちらでは警策(きょうさく:参禅者を叩く棒。文殊菩薩の手とされる)による、「喝!!バシッ!!」というのはありません。

昔オーストラリア人の参禅者(♀)に喝を入れたところ、幼少時代に受けたDVを思い出して泣きじゃくってモメた・・・

というトラブルがあったそう。

彼女曰く、「叩くなら、正面から目を見て、正々堂々やりなさい!!」

と叱られたそうな(爆)

何しに日本に来たのでしょうか・・・

それ以来、警策はぷっつりやめたそうです。(和尚さんもデリケート☆)

堂内での手順ですが、

入口の柱に近い足から入り、合掌・一礼します。

自分の席の前に立ち、席に一礼します。

右回りして、道場に一礼します。

そのまま坐布(ざふ)に腰を下ろし、右回りで坐ります。

背筋を張り、顎を引き、手は法界定印を結びます。



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これだけです。あとは止静(始まりの鐘)を待ちます。

外からは虫の声と鹿の鳴き声。川のせせらぎ。

雨の日は雨の音。それ以外は一切聴こえません。

禅の最中、自分の思考は次のようなループでした。

〇無になれ、無になれ、無になれ・・・

→いやいや、無になれって思考してたら無じゃないやん

→宇宙・・・宇宙・・・宇宙・・・

→あ、地球。みんなどうしてるかな・・・

→あー、帰って速攻、就活かー

→マック食いてー

→いかん、いかん、無、無、無・・・

→いやいや、無じゃない、無じゃない・・・

・・・と、こんな煩悩のスパイラルですよ。

いかんなーと思い、和尚さんに相談しました。

僕:「和尚さん、煩悩だらけで無になれません。」

和尚:「人間が無になんかなれないですよ。考えていいから、ただ、ひたすら45分坐っていなさい。」

ふーん、そうなのか。

いや、そうである。皆さん、45分じっとしてられますか??これが結構キツイ。

金曜日の「坐禅会」となると、これを3セットだからそりゃあキツイ。

初めての坐禅会の時の事でした。

二本目終了の時点で足は限界、経行(堂内をゆっくり、ゆーっくり歩く)の時もヨタヨタになっていました。

―そして未知の三本目。

もう始めから痛いさ。(痺れは我慢できるが、骨と骨の当たりや、関節の痛みは激痛)

痛みで顔は歪み、ギリギリと歯を食いしばり、頭痛すらおぼえてきたその時、

静寂を破って和尚さんの穏やかな声が道場に響きました。


「足はだんだん痛くなる。

もう、考える事も無くなってきた。

ただ、坐っていなさい。時間まで坐り続けなさい。

三本目、ここからが本当の禅です・・・。」


鳥肌が立ちました。

FF4で最期のボスの時に仲間が全員登場するシーンを思い出し、この曲が頭で流れ始めました。








何故か感動して涙が溢れてきました。

すると、不思議と足の痛みが引いたんです!(マジ)





















まあ、それも5分ともちませんでしたが。

あらあら、長くなってきたので、2回に分けましょうかね・・・

でわでわ。












マー君

町内一周駅伝、第6区、5位!

いやー、久々レースの緊迫感の中走りました、僕です。

禅と陸上って、何だか似てるなー

と、感じた一日でした。




さ、体験記です。

どうでもいい事かもしれませんが、やはり最初の一週間のメインとも言える出来事が

マー君との数日でした。



修行開始から2日目、不登校の高校生が一か月の予定で参禅するという事でした。

12日の昼過ぎ、彼「マー君」はやってきました。

礼儀正しく、ハキハキとして、体格のいい学生さん・・・という印象を持ちました。

宿坊へ案内し、午後の作務(この日もずっと草むしり)の説明をしました。

二人であれこれ話しながらせっせと草むしり。

15時を過ぎたあたりでマー君が

「これ、いつまでやるんですか?」

僕:「4時半までだよ。」

マ:「えー??!ずっと草むしりですか??ホントですか??」

何故か驚いて少しガックリしていたマー君。

僕:「マー君はなんでここ来たの?」

マ:「人生で初めて挫折を味わって、それからうまくいかなくなって・・・」

僕:「えー??17歳で挫折??何があったの??」

マ:「成績が小学生までトップだったんですが・・・中学で自分より上の奴がゴロゴロいまして・・・それで・・・」

僕:「んなら、中学生で挫折したん?まだまだ人生先の方が長いよ?」

マ:「はあ・・・。でも立ち直れなくて、強くなりたくてここに来ました。」

僕:「へー、じゃあ、エライやん。」

こんな会話をしながら作務をこなしておりました。

―夕食―

僕は火を熾して汁物を作っていたので、マー君は和尚さんと魚をさばいていました。

最初は積極的にあれこれ聞いていたマー君ですが、途中から

「んんんん、うん、うんんんんんん、んんんんんんんん」と説明を聞いてるのか聞いていないのかわからない返事をし始めました。

そしてマー君の顔を見たら、汗びっしょり・・・。

僕:「大丈夫??」

マ:「熱が・・・あるみたいです・・・」

僕:「いいよ、少し休んどき。」

マー君を座らせて料理を続けます。

準備が整い、席に着き、「応量器」と呼ばれる器の使い方と食事の作法のレクチャーをマー君は受けました。

この応量器と作法、僕は大好きでした。その機能美と無駄の無さ、昔の日本人は素晴らしいな、

と、初日に習った時感動しました。帰ってからも使いたいと思って調べましたがけっこうする・・・

食事の様子の動画のデータが壊れて再生不可だったので、You Tubeより拝借します。









こんな風です。


そして食事が終ると、マー君が半端無い汗をかいていました。

僕:「大丈夫??」

マ:「正座したことなくて・・・足が・・・しびれて・・・」

正座したことないのか、と和尚さんとふたりでビックリしましたが、まあ、あぐらでもいいからと諭して後片付けをし、宿坊へ戻りました。

19:15から坐禅です。正座が無理なら坐禅も厳しいな、と思い坐禅レクチャーをしました。

すると、案の定半端無い体の硬さで形にならない・・・

マ:「あー・・・・・どうしよう・・・・・・」

僕:「大丈夫大丈夫、和尚さんが何とかしてくれるって!」

そして禅堂へ。禅が組めないマー君に毛布やらなんやらで対策する和尚さん。

どうにかスタート。45分が経ち、1本めと2本目の間に、禅堂をゆっくり歩く「経行(きんひん)」というのを行うんですが、その途中、

「気分・・・悪い・・・吐く・・・」

と外に出たマー君。気にせず2本目を終え、宿坊へ戻ったがマー君の姿が見えない。

トイレの方からうめき声が聞こえたので行ってみたら、降りしきる雨の中、マー君が外で倒れていました。

僕:「おい、大丈夫!?」

マ:「体・・・動かん・・・」

僕:「雨降ってるし、中に入ろう!そこまでがんばろう!」

和尚さんと抱えようとするが、その体格のいい坊ちゃんはどうにもこうにも動かない。

和尚さんが余った引き戸を持ってきたので担架がわりにしマー君を乗せ、縁側まで何とか引きずって行きます。

僕:「もうスグそこで部屋の中やから、がんばって!!」

というが、動かない。どうにかこうにか引きずり入れ、寝かせました。

「熱が・・・」というので頭に手を当てたが熱は無い。

和尚さんに「熱は無いみたいです。」と言うと、「触って熱くないかも知れないですけど・・・熱があるんです・・・」

「そうか。とにかく今日は寝り。」マー君が持参した薬(十数種類)の一つを飲ませ、自分も寝ました。


―13日―


1日中寝ていたマー君。

夕食の準備をしていたらようやく起きてきてました。

マ:「シンジさん、すいませんでした・・・」

僕:「いいよいいよ。」

マ:「昨日から何もしてないから手伝います・・・」

僕:「いいから、まだ休んどいていいよ。」

そう言ったが、手伝い始めたマー君。なら料理手伝ってもらおうと、手順を説明しました。

すると「んんんん、うん、うんんんんんん、んんんんんんんん」というあの返事をし始めました。

僕は彼と会って2日ですが、「あ、来るな」とわかりました。

彼は難しい事やできない事と対峙した時、少し壁にぶつかった時、発病するんです。

いや、正確には自分で創った病気を「発病させる」のです。

そのサインのひとつが「んんんん、うん、うんんんんんん、んんんんんんんん」でした。

案の定「熱が・・・」と柱にもたれかかりました。

「もういいから、横になっとき。」と座らせ、準備を済ませて食事が始まりましたが、

「もう、ダメや・・・。俺、ここで・・・死ぬ・・・」

マー君は起きませんでした。

僕:「明日、病院に連れて行きましょう」

和尚:「そやな。今日の夜坐は中止。」

せっかくリズムができてきたのに中止は嫌だったので、一人坐禅堂に赴き、禅を組みました。


―14日―

「マー君病院行くよ」とマー君を起こす。

屋久島で一番大きな病院へ連れて行き診察してもらう。

僕:「どうだった?」

マ:「一か月は無理だから二週間にしときなさいと言われました。母に電話してきます・・・」

この後、点滴をするとの事だったので、先に送ってもらい、一人戻りました。









その後、重い足取りで戻ってきたマー君。

夕食を済ませ、風呂から上がって母屋へ戻ると、マー君と和尚さんが話し込んでいました。

マー君は泣いていました。

和尚さんが悩みを聞いてくれて、諭されて涙してるんだろうな・・・と思い、そっと通り過ぎました。

19:15、宿坊に近づく2つの足音。マー君が「坐禅に行きましょう!シンジさん!」と戸を開けました。

「おお、さすが和尚」と思いつつ、3人で禅に向かいました。

マ:「仏は何か教えてくれますよね?」

和尚:「あなたが本気で尋ねたら、きっと答えてくれます。」

光を見出した若者の顔がそこにはありました。

「おおおおおお、さすが和尚おおおおお」と思い、何だか自分も笑顔になりました。

坐禅ができないから、椅子に座って臨んだマー君。

―45分経過 一本目終りの鐘の音が静寂を破ります。

するとマー君が「おえっ、おええええええええええええェ」

と禅堂から出て行きました。




ええええええええええええぇ?




諦め早くない??

こないだみたいにまた倒れていないか心配しながら、2本目終了。

宿坊へ戻るとマー君は「和尚さんに話があります・・・」と母屋へ行きました。

さあ、寝ようかと寝袋に入ると、母屋から大声とドンドンという音が聞こえてきましたが、寝ました。


―15日―

5:00目を覚まし、「マー君、朝よ!」と起こすと、

「救急車・・・救急車・・・」というマー君。

僕:「具合悪い?」

マ:「体・・・しびれて・・・動かん・・・」

僕:「んじゃ、も少し寝とき。」

禅堂へ向かい、和尚さんに状況を説明。

僕:「救急車って言ってますけど・・・」

和尚:「救急車は呼ばん」

精神的なもので大事に至る事はないと和尚さんもわかっていました。

朝食を終え、和尚さんに昨晩の大声の件を尋ねる。

僕:「昨日、どうしたんですか?」

和尚:「ああ、「お父さんとお母さんが恋しい、帰りたい」と、机や壁を叩いて怒鳴ってたよ。」

あらら・・・

部屋に戻り、マー君との問答。

マ:「水・・・水・・・」

僕:(枕もとに用意された水とコップを指し)「水、そこあるよ。」

マ:「体・・・動かん・・・」

僕:(水を注いで)「ほら。でも、体動かんなら飲めないね。」

マ:「右手だけ・・・動く・・・」

そう言って寝たまま飲んでむせていました。そりゃそうなる。

マ:「救急車は・・・?」

僕:「救急車は来ないよ。」

マ:「もう長くない・・・死ぬ・・・」

僕:「死なん死なん。
   ねえ、マー君、がんばろうよ。
   ここで負けたら誰にも勝てんよ?」

マ:「この病気のせいで・・・無理・・・一人でトイレも行けん・・・」

僕:「しびん持ってこようか?トイレに行けんて、そういう事よ?
   ここに居ても病院に居ても、それは一緒。」

マ:「でも・・・無理・・・薬一週間分しかない・・・
   一週間も耐えきれん・・・」

僕:「え?薬二週間分あったやん。なんで一週間縮まったん?」

マ:「・・・昨日、和尚さんに一週間にして下さいって言った・・・。
   でも・・・もう無理・・・」

僕:「何?ここがイヤなん?この環境がいやなん?」

マ:「・・・ここが・・・イヤ・・・」

僕:「そんなら病気のせいにしないで最初からそう言おう。」

そう言って部屋を出ました。

8:00からのブッダのことば朗読を母屋でやっていると藤吉がやたら吠えていました。
















10月15日 午前8:30


         ― マー君脱走 ―











先程まで動かないと言っていた体で、足早に山を駆け下りた事でしょう。









聞けばお医者さんの息子だそうで甘い父と厳しい母に育てられ、母の成績に対するプレッシャーは物凄かったとか。

彼も可哀想である。

「できなかった理由」「ダメだった理由」を用意しないと、母親から厳しく批判されていたのかも知れない。

あるいは逆で厳しさやプレッシャーから逃れる為に「発病」したのか。

ひとつ残念だったのは、彼は一日も日課を完璧にこなさなかった事。

それで「ダメだ」と判断を下さないで欲しかったです。



マー君、それで社会人なったら厳しいから、いつか強くなるんだよ・・・。



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