マー君


町内一周駅伝、第6区、5位!

いやー、久々レースの緊迫感の中走りました、僕です。

禅と陸上って、何だか似てるなー

と、感じた一日でした。




さ、体験記です。

どうでもいい事かもしれませんが、やはり最初の一週間のメインとも言える出来事が

マー君との数日でした。



修行開始から2日目、不登校の高校生が一か月の予定で参禅するという事でした。

12日の昼過ぎ、彼「マー君」はやってきました。

礼儀正しく、ハキハキとして、体格のいい学生さん・・・という印象を持ちました。

宿坊へ案内し、午後の作務(この日もずっと草むしり)の説明をしました。

二人であれこれ話しながらせっせと草むしり。

15時を過ぎたあたりでマー君が

「これ、いつまでやるんですか?」

僕:「4時半までだよ。」

マ:「えー??!ずっと草むしりですか??ホントですか??」

何故か驚いて少しガックリしていたマー君。

僕:「マー君はなんでここ来たの?」

マ:「人生で初めて挫折を味わって、それからうまくいかなくなって・・・」

僕:「えー??17歳で挫折??何があったの??」

マ:「成績が小学生までトップだったんですが・・・中学で自分より上の奴がゴロゴロいまして・・・それで・・・」

僕:「んなら、中学生で挫折したん?まだまだ人生先の方が長いよ?」

マ:「はあ・・・。でも立ち直れなくて、強くなりたくてここに来ました。」

僕:「へー、じゃあ、エライやん。」

こんな会話をしながら作務をこなしておりました。

―夕食―

僕は火を熾して汁物を作っていたので、マー君は和尚さんと魚をさばいていました。

最初は積極的にあれこれ聞いていたマー君ですが、途中から

「んんんん、うん、うんんんんんん、んんんんんんんん」と説明を聞いてるのか聞いていないのかわからない返事をし始めました。

そしてマー君の顔を見たら、汗びっしょり・・・。

僕:「大丈夫??」

マ:「熱が・・・あるみたいです・・・」

僕:「いいよ、少し休んどき。」

マー君を座らせて料理を続けます。

準備が整い、席に着き、「応量器」と呼ばれる器の使い方と食事の作法のレクチャーをマー君は受けました。

この応量器と作法、僕は大好きでした。その機能美と無駄の無さ、昔の日本人は素晴らしいな、

と、初日に習った時感動しました。帰ってからも使いたいと思って調べましたがけっこうする・・・

食事の様子の動画のデータが壊れて再生不可だったので、You Tubeより拝借します。









こんな風です。


そして食事が終ると、マー君が半端無い汗をかいていました。

僕:「大丈夫??」

マ:「正座したことなくて・・・足が・・・しびれて・・・」

正座したことないのか、と和尚さんとふたりでビックリしましたが、まあ、あぐらでもいいからと諭して後片付けをし、宿坊へ戻りました。

19:15から坐禅です。正座が無理なら坐禅も厳しいな、と思い坐禅レクチャーをしました。

すると、案の定半端無い体の硬さで形にならない・・・

マ:「あー・・・・・どうしよう・・・・・・」

僕:「大丈夫大丈夫、和尚さんが何とかしてくれるって!」

そして禅堂へ。禅が組めないマー君に毛布やらなんやらで対策する和尚さん。

どうにかスタート。45分が経ち、1本めと2本目の間に、禅堂をゆっくり歩く「経行(きんひん)」というのを行うんですが、その途中、

「気分・・・悪い・・・吐く・・・」

と外に出たマー君。気にせず2本目を終え、宿坊へ戻ったがマー君の姿が見えない。

トイレの方からうめき声が聞こえたので行ってみたら、降りしきる雨の中、マー君が外で倒れていました。

僕:「おい、大丈夫!?」

マ:「体・・・動かん・・・」

僕:「雨降ってるし、中に入ろう!そこまでがんばろう!」

和尚さんと抱えようとするが、その体格のいい坊ちゃんはどうにもこうにも動かない。

和尚さんが余った引き戸を持ってきたので担架がわりにしマー君を乗せ、縁側まで何とか引きずって行きます。

僕:「もうスグそこで部屋の中やから、がんばって!!」

というが、動かない。どうにかこうにか引きずり入れ、寝かせました。

「熱が・・・」というので頭に手を当てたが熱は無い。

和尚さんに「熱は無いみたいです。」と言うと、「触って熱くないかも知れないですけど・・・熱があるんです・・・」

「そうか。とにかく今日は寝り。」マー君が持参した薬(十数種類)の一つを飲ませ、自分も寝ました。


―13日―


1日中寝ていたマー君。

夕食の準備をしていたらようやく起きてきてました。

マ:「シンジさん、すいませんでした・・・」

僕:「いいよいいよ。」

マ:「昨日から何もしてないから手伝います・・・」

僕:「いいから、まだ休んどいていいよ。」

そう言ったが、手伝い始めたマー君。なら料理手伝ってもらおうと、手順を説明しました。

すると「んんんん、うん、うんんんんんん、んんんんんんんん」というあの返事をし始めました。

僕は彼と会って2日ですが、「あ、来るな」とわかりました。

彼は難しい事やできない事と対峙した時、少し壁にぶつかった時、発病するんです。

いや、正確には自分で創った病気を「発病させる」のです。

そのサインのひとつが「んんんん、うん、うんんんんんん、んんんんんんんん」でした。

案の定「熱が・・・」と柱にもたれかかりました。

「もういいから、横になっとき。」と座らせ、準備を済ませて食事が始まりましたが、

「もう、ダメや・・・。俺、ここで・・・死ぬ・・・」

マー君は起きませんでした。

僕:「明日、病院に連れて行きましょう」

和尚:「そやな。今日の夜坐は中止。」

せっかくリズムができてきたのに中止は嫌だったので、一人坐禅堂に赴き、禅を組みました。


―14日―

「マー君病院行くよ」とマー君を起こす。

屋久島で一番大きな病院へ連れて行き診察してもらう。

僕:「どうだった?」

マ:「一か月は無理だから二週間にしときなさいと言われました。母に電話してきます・・・」

この後、点滴をするとの事だったので、先に送ってもらい、一人戻りました。









その後、重い足取りで戻ってきたマー君。

夕食を済ませ、風呂から上がって母屋へ戻ると、マー君と和尚さんが話し込んでいました。

マー君は泣いていました。

和尚さんが悩みを聞いてくれて、諭されて涙してるんだろうな・・・と思い、そっと通り過ぎました。

19:15、宿坊に近づく2つの足音。マー君が「坐禅に行きましょう!シンジさん!」と戸を開けました。

「おお、さすが和尚」と思いつつ、3人で禅に向かいました。

マ:「仏は何か教えてくれますよね?」

和尚:「あなたが本気で尋ねたら、きっと答えてくれます。」

光を見出した若者の顔がそこにはありました。

「おおおおおお、さすが和尚おおおおお」と思い、何だか自分も笑顔になりました。

坐禅ができないから、椅子に座って臨んだマー君。

―45分経過 一本目終りの鐘の音が静寂を破ります。

するとマー君が「おえっ、おええええええええええええェ」

と禅堂から出て行きました。




ええええええええええええぇ?




諦め早くない??

こないだみたいにまた倒れていないか心配しながら、2本目終了。

宿坊へ戻るとマー君は「和尚さんに話があります・・・」と母屋へ行きました。

さあ、寝ようかと寝袋に入ると、母屋から大声とドンドンという音が聞こえてきましたが、寝ました。


―15日―

5:00目を覚まし、「マー君、朝よ!」と起こすと、

「救急車・・・救急車・・・」というマー君。

僕:「具合悪い?」

マ:「体・・・しびれて・・・動かん・・・」

僕:「んじゃ、も少し寝とき。」

禅堂へ向かい、和尚さんに状況を説明。

僕:「救急車って言ってますけど・・・」

和尚:「救急車は呼ばん」

精神的なもので大事に至る事はないと和尚さんもわかっていました。

朝食を終え、和尚さんに昨晩の大声の件を尋ねる。

僕:「昨日、どうしたんですか?」

和尚:「ああ、「お父さんとお母さんが恋しい、帰りたい」と、机や壁を叩いて怒鳴ってたよ。」

あらら・・・

部屋に戻り、マー君との問答。

マ:「水・・・水・・・」

僕:(枕もとに用意された水とコップを指し)「水、そこあるよ。」

マ:「体・・・動かん・・・」

僕:(水を注いで)「ほら。でも、体動かんなら飲めないね。」

マ:「右手だけ・・・動く・・・」

そう言って寝たまま飲んでむせていました。そりゃそうなる。

マ:「救急車は・・・?」

僕:「救急車は来ないよ。」

マ:「もう長くない・・・死ぬ・・・」

僕:「死なん死なん。
   ねえ、マー君、がんばろうよ。
   ここで負けたら誰にも勝てんよ?」

マ:「この病気のせいで・・・無理・・・一人でトイレも行けん・・・」

僕:「しびん持ってこようか?トイレに行けんて、そういう事よ?
   ここに居ても病院に居ても、それは一緒。」

マ:「でも・・・無理・・・薬一週間分しかない・・・
   一週間も耐えきれん・・・」

僕:「え?薬二週間分あったやん。なんで一週間縮まったん?」

マ:「・・・昨日、和尚さんに一週間にして下さいって言った・・・。
   でも・・・もう無理・・・」

僕:「何?ここがイヤなん?この環境がいやなん?」

マ:「・・・ここが・・・イヤ・・・」

僕:「そんなら病気のせいにしないで最初からそう言おう。」

そう言って部屋を出ました。

8:00からのブッダのことば朗読を母屋でやっていると藤吉がやたら吠えていました。
















10月15日 午前8:30


         ― マー君脱走 ―











先程まで動かないと言っていた体で、足早に山を駆け下りた事でしょう。









聞けばお医者さんの息子だそうで甘い父と厳しい母に育てられ、母の成績に対するプレッシャーは物凄かったとか。

彼も可哀想である。

「できなかった理由」「ダメだった理由」を用意しないと、母親から厳しく批判されていたのかも知れない。

あるいは逆で厳しさやプレッシャーから逃れる為に「発病」したのか。

ひとつ残念だったのは、彼は一日も日課を完璧にこなさなかった事。

それで「ダメだ」と判断を下さないで欲しかったです。



マー君、それで社会人なったら厳しいから、いつか強くなるんだよ・・・。



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コメント

  1. もんもんD より:
    チンちゃんおはよ

    あたしゃバルーン会場で金髪ねぇ〜ちゃん達と焼きそばとトウモコロシ焼いてたよ
    ( ̄∀ ̄)

    ただひたすら焼いてました…

    今日はもう腕がピンポンパン
    (゜∀゜;ノ)ノ

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